2月ごろハウスに現れ始めたアブラムシは5月下旬〜6月にピークを迎え、夏場の暑さで休眠に入ります。今年は6月に入ってから例年殆ど被害のないエカキムシが、ほうれん草小松菜の緑の葉のキャンパスに白い絵の具でグルグル気ままに絵を描いてくれました。それも沢山。(ナモグリバエという5ミリほどの小さなハエが野菜の葉に卵を産みつけ、この幼虫が葉肉の中を食べながら大きくなってゆく、中身を食べられた緑の葉は葉緑素が抜け表皮だけとなり、幼虫が食べ歩いた跡が白く線として残る、まるで絵を描いた様に)放置しておくと緑の葉は白く全体が脱色してしまう。

葉の中に潜り込んだエカキムシの幼虫を殺すには、手で葉ごと押し潰すしかないが簡単には発見できない。発生初期に食害された葉をちぎって捨てるか、成虫のハエを防虫ネットか不織布で防ぎ、葉に産卵させない方が良い。しかし現実はそう簡単ではない。この時期アブラナ科やナス科の害虫ナストビハムシ、キスジノミハムシという黒い甲虫が土の中から現れる。例えば小松菜を播種し蛾やチョウ、エカキムシの産卵を防ぐため不織布のトンネルをかける。小松菜が大きくなり収穫1週間前にトンネルを開けるとびっくり。小松菜は穴だらけでボロボロ。アオムシや蛾の幼虫ではなく黒くて丸い2ミリ程の小さな虫が一杯。手で捕まえ様とすると、ぴょんぴょん跳ねる。とても捕まえられない早さだ。黒い甲虫の背中に二本の黄色の筋があるのがキスジノミハムシだ。彼らの幼虫は土の中におり不織布トンネルに守られ成虫は大繁殖。閉じられた空間は生き物のバランスを壊しやすい。ハウス1棟を密閉し、強力な殺虫殺菌剤で皆殺しすると、完璧に100%皆殺しなど出来ないので、僅かに生き残った者が大発生する。(人間もまるごと生き物なので、近年の殺菌剤ブーム、清潔な身の回り品の氾濫は、逆にウィルスの脅威を増加させていると心配)
ぴょんぴょん跳ねる黒い甲虫を捕まえるには今のところ粘着テープしかない。きらく庵のハウスでは黒い甲虫を発見したら畝間に黄色の粘着テープを張り付けます。もちろん粘着テープには害虫だけ付くわけではありません。益虫もただの虫もくっつくものはくっ付きます。
発芽した小松菜の双葉を食害するキスジノミハムシ。この生育段階で2匹も取り付かれた小松菜は大きくなる前に消滅する。