松原有機農場で
8月下旬ロカヴォ松原農場で初めての農と医の連携によるメンタルヘルスケア事業を試みました。参加者6名とサポーター6〜8名。4泊5日の合宿はエコモデル住宅。食事のフォローは地元の主婦、午前中は有機農業体験、午後はセラピーロードで森林浴、各種検査と全体ミーティング、カウンセラーによる個別の問診など、汗と雨、戸惑いと爆笑、緊張と放心そして最後は心地よい疲れと暖かい感謝の言葉で無事終了しました。
小雨の中の種まき
不安定な天候の毎日、雨の中、人参の種まきです。種とは何か、種の発芽の話、せり科の話、有機栽培の特徴とリスク、そしてその必要性の話を真剣に事前にレクチャーしました。思わず笑い声を参加者が何回出すかが私の一番の関心ごとです。これが上手くできれば作業に集中し、雨に濡れ手につく人参の種や足元のぬかるみに気を取られながらも、小さなこの種が芽を出す事の不思議さを考えてくれるかもしれませんから。
オクラの収穫
朝一番は収穫です。オクラ、トマト、ズッキーニ、なす、モロヘイヤ、バジルなどです。収穫と同時にトマトとズッキーニの受粉もやってもらいました。トマトは自家受粉する風媒花。ハウスの中は風が弱いので開いた花を指先で弾きます。ズッキーニは雌花、雄花は別々に咲き、ハエやアブなどの虫が受粉してくれます(虫媒花)。しっかり受粉し種ができれば果肉(果実)も素直に育ちますが、受粉が十分でないといびつな形になります。
セラピーロード
久保谷セラピーロードは片道約3㎞の比較的平坦な散歩道。松原のパン工房シェムワの横に入り口があります。ゆっくり森林浴が楽しめます。森の生き物たちや森の楽しみ方を専門ガイドが案内します。ゆるり流れる清流に両手を入れ、身体に溜ったストレスを水に流す森の中の儀式です。
アカガシ原生林
アカガシの原生林に突然天から激しい雨が降り注ぎました。皆、無言の時間をじっと耐えます。自分の耳鳴りだけでなく大きな雨粒の音、木々の葉のざわめき、そして自分の鼓動が木々の鼓動と同調したと思えた瞬間、優しい安堵感が森全体を覆います。
一日の振り返り
今日一日を振り返り、感じたこと気になった事、考えたこと、思い出したことを皆の前で言葉にします。発した言葉はみんなに届き、また自分に返ってきます。日常生活で溜め込んだ想いが突然吹き出したり、素直な自分に驚いたりしながら疲れ果て、やがて深い眠りの後覚醒します。
ロカヴォの有機野菜オンパレード
サラダボール:ロケットサラダ:とまと:玉ねぎ:酢漬け赤玉ねぎ:オクラ素揚げ:なす素揚げ:ズッキーニ素揚げ:インゲンボイル:パプリカ赤黄:ピーマン:きゅうりピクルス:トマト以上の野菜をそば粉のクレープに包みタイプの違うマヨネーズで頬張る。素材はすべて自社農場産。そば粉と卵も。
(サラダ油、お酢、塩、こしょうは残念ながら自社製ではありません)
全卵マヨネーズ2種
マヨネーズはベジタリアン鶏の全卵使用。チャービル、イタパセ、チャイブのシンプルなタイプと、キュウリのピクルス、青唐辛子、ドライトマト、玉ねぎ、にんにく、コリアンダー葉を入れた少し酸味と辛味の効いたタイプ。
もちろん全部全員でその場で手作りしたもの
(きゅうりのピクルスは3日前に作りました)
ロールケーキとアイスクリームバーベナの香り
仕上がりの色はきれいではありませんが、ロールケーキにはルバーブジャム、ビーツの汁で色づけ、アイスクリームは生のレモンバーベナで香り付け。
写真はありませんがコーンスープと、そば粉のクレープ2枚は自分の食べる分は全員自分で焼きました。
(クリーム砂糖は自社製ではありません)
合宿の最終日、全員で有機野菜を食べ尽くす?料理を作りました。メニューは
1:夏野菜まるごとそば粉クレープ包み 2:コーンスープ 3:ルバーブジャムのロールケーキ 4:アイスクリームベルベーヌの香り
調理スタッフは事業参加者6名(40〜70代の男女)の他、20代の管理栄養士、医師、パン職人、地元主婦、学生など13名。調理場は一杯。年齢、男女、職業、経験、調理能力の個人差など一切無視してひたすら細かい指示だけを出すのは私。生産者の強みです。驚くことに2時間ですべての料理が完成し、混乱もせず全員できれいに食べ尽くしました。自分でつくり、調理し食べるものは美味しく感じますが、見知らぬ人がいっとき、一緒になって同じ時間を共有し作り上げる食べ物も、楽しく美味しいものだと思います。誰一人不満顔の人はいなかったと思います。
ロカヴォの食べ物(料理)の基本的考え。
①自社の有機農産物を出来るだけ使う。②素材の味、形、色、香り、エネルギーを生かす調理法、食べ方を考える。③美味しく身体に良い食べ物を作る。④自分の食べ物は自分でつくり(採り、獲り)、自分で調理する。⑤食べ物を自分の手で作り出す力(能力、知恵)が自立、自律に繋がる。⑥「あなたはあなたが食べたもので出来ている」事を忘れない。