四国高知の山奥、檮原の今年の寒さは峠を越したかもしれません。天気がたとえ悪くとも冬至が過ぎ、少しづつ日が長くなるのが実感できます。大陸からの冷たい寒気が北西の風に運ばれ、四国カルストから吹き降ろしてきますが、少しでも陽が当たるとハウスの中は春の陽気となります。(あらゆるものが爆発始めた中国からの汚染物質が日本を覆い尽くし始めましたが、取りあえずロカヴォの葉物は無加温のハウス栽培ですから少しは安心です)

太陽の光なくして生きて居られないことを改めて思い知るのも悪くありません。

厳しい寒さと、弱く少ない冬の太陽の光の中で野菜を栽培してみると、野菜たちがどんなに太陽を求めているかがよくわかります。悲しいかな今の多くの人々が太陽を求めて毎日を生きて居るとは、とても見えません。

生き物の種をまき、育て見守り?何が起きてもまた種をまく。生き抜くための食べ物を作り続ける百姓は、そもそも職業などではなく、太陽の光や、土や空気や水などと同じでその小さな一部にすぎないのかもしれません。お金に縁がないのも道理かもしれません

春から夏は草刈りに追われます。ハウスの周辺、石垣の土手、田んぼの畦、

ハウスや畑への小道、農場横の小川の堤。

一枚の畑、田んぼの面積が狭い山間地は、段々畑の土手の面積の方が多いところもあります。

夏の草刈は最低3回は必要です。特に足場が悪く石が多い土手の草刈は、危険で、体力、気力だけでなく、細心の集中力も必要です。

草刈り機のエンジン音と振動に覆われて、長時間の緊張を強いられる作業は、疲れますが、

気持ち良いこともあります。風向きによっては青草の匂いにミントの刺激が混じったり、(左の写真)お花畑の様な小道に出会えます。

有機栽培では除草剤を使いませんから、草刈りを何回も繰り返すと、大きく生い茂る草も、大きくなる前に刈り取られ、一つの品種だけがのさばることがなくなり、時間とともに(何年もたつと)、多品種が競合しながら地面を覆い始めます。

草丈が低いまま花が咲き、種を付けるものが残る訳です。春から初夏にかけて、次々と小さな花が実に様々な変化を見せてくれます。

人間がどんなデザインをめぐらして花壇を作っても、この野草たちの生き様の多様な美しさには

かないません。もちろんこれは私個人の好みですが。

ここ数年、年末になると雪が降る。大晦日、元旦は一日中ひとりハウスの雪降ろしの羽目となる。現在きらく庵のハウスは殆どが間口6M,奥行き40〜50Mのパイプハウス。積雪が30㎝を超えると不安になる。今まで数回小さなパイプハウスを除雪が間に合わず潰している。

天気予報を聞き、天気図を確認し、思案の末覚悟を決め、除雪のための身支度を整える。慌てず騒がず、雪溜まりの場所、ハウスの中の作物の種類、万が一潰れたときのダメージの軽重などを判断し、除雪ハウスの順番を決める。

ハウス屋根の除雪用に作った柄の長い鋤簾(じょれん)に、3Mばかりのロープを括りつけ、一方の端を左手首に縛り固定する。ハウス側面から屋根上に向かって鋤簾を投げ上げる為に。刃先に木の板を括りつけられた鋤簾は吹雪の中を舞いあがり、ハウス屋根の新雪にその重みで突き刺さる。後は両手でロープを力一杯手繰り寄せると、頭の上から大量の雪が雪崩のように落ちてくる。このたった一回の除雪で全身雪まみれとなる。

これから後は体力と気力と根気、それに理由のない使命感だけ。一つのハウスの両側が終わると後9棟。身体は熱く手足は冷たく痛い。手の温もりで溶けた雪が、ロープと鋤簾の柄に凍り付き次第に丸く太くなってゆく。こうなると思うように力が除雪に結び付かない。この苛立ち、歯がゆさはいつまでもつつ”かない。思考も体力も身体の感覚もなくなり、やがて恍惚となる。

寒くもなく苦痛もなく、雪に埋もれる恐怖も無くなる。そして夜、ヘッドライトに浮かぶ吹き付ける雪を美しく感じたら止めたほうがいい。気持ち良い眠りに入れそうだから。自然との一体感、自然に溶け込むとは、自身が自然の風景となるとは、こうした状態のことかもしれない。

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担当:高津

四国カルストの麓、環境モデル都市梼原町で25年以上有機野菜:ハーブ:穀物などを栽培し、自家用に鶏や食用ウサギなども飼ってきました。
2018年より一人松原農場に専念し「専門植物園」として「日本植物園協会」の認定を、今、目指しています。
「小さな美味しい植物園」は人間が食べる植物(野菜果物ハーブ穀物など)を500品目以上年間切らさず生産展示。勿論無農薬無肥料、土壌と作物に一切の「商品」を添加しない「自然農法」です。
自家採種100%が梼原町の固定種を産み出します。食べ物の自給自足=地域自給こそが地球環境の激変=社会環境の劣化から「大切な人」を守る残された唯一の道です。